北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-6 身体のシーソーゲーム

とにかく、部屋の片付けをしよう…。

北里病院受診後、わりとすぐに、私は自室の「環境整備」に取りかかった。合板家具の類は動かせないものの、その中に入っている余計なもの要らないものは、取り出して廃棄処分。これまで溜め込んでいたマンガ雑誌なんかも、全部捨てる。多少惜しいものもあるっちゃあるけど、そんなこと言ってたら何も進まない。えいっ、えいっとゴミ袋へ。

早く、早くしないと…。化学物質を早く減らして、身体の負担を軽くして、これ以上悪化しないようにしないと…

焦っていた。これはまるで、シーソーゲームみたいだな、と思った。身体に入ってくる化学物質の量と、今私が何とか耐えられる量との。

入ってくる化学物質の量が私の限界を超えれば、また坂道を転がり落ちるように悪化してゆくだろう。悪化すればさらに過敏が進み、反応物も増えてゆき、とさらにそれに反応することでますます過敏化が進むという悪循環に陥る。

それを回避するために、今こうして身の廻りの化学物質を減らしているわけだが、しかし問題は、その限界値がどれくらいなのか、自分でもさっぱりわからない、というところにあった。そこが、恐い。

時間の問題かも…。

そう長くは保たない。それは身体の感じで、何となくわかっていた。部屋の片付け程度では、そう時間は稼げないだろうな、と。というのもアレが、目の前にあるものだから。

あ、あああー…アレが、なぁ…

台所脇のベランダ窓から、今日もよく見えるアレ。地面から生え、空にそびえ立っているかのようなアレ。そもそも家の窓から、こんな間近に見えること自体どうにも違和感ハンパないアレ。今日もアレは、そのてっぺんから白い煙を左にたなびかせている。何度何回見ても、ギクッとし、これでいいのか大丈夫なのかやっぱり間違っているんじゃないかと思い、頭がぐるぐるしてきてしまう。

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