北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-1 嚙み合ってない…ような

引き続き、診察中。

ようやくやっと、私が「化学物質過敏症」であるという診断が出た。またその検査による結果も、医師の先生に大変詳しくして頂いた。これだけで診察時間はすでに、15分以上は経っていたかと思う。大変に丁寧な診察だといえる。普通の病院ではたいてい「3分間診察」だといわれるから、その差は歴然。

しかしまだ、肝心な話が出ていなかった。そう、「治療」の話である。この化学物質過敏症という病気は、どのようにすれば治るのか。回復するのか。これ以上悪化させないためには、何をどうすれば良いのか?

このことを、専門の医師の先生に尋ね、直接教えてもらいたい。それが私のこの受診の一番の目的であり、また希望だった。

それで先生、今後はどのようにすれば…

出来る限り、反応物から遠ざかって、距離を置いて下さい。生活環境もなるべく、化学物質の曝露が避けられるよう、整えて下さい

あ、はい…

沈黙
え、それだけっ!?

あの具体的には、どのようにすれば…

そうですね。御自宅の、特にあなたが一番長く過ごす部屋を、重点的に環境整備するのが良いですね

え、えーと、じゃあ例えば、部屋に置いてある本を減らすとか、そういうことですか?

本が沢山置いてあるなら、そうですね。減らすに越したことはないです



あ、あとじゃあ、タンスとか本棚とかの合板家具なども、どけた方がいいのですか?

 

合板製の家具というのは、ラワンなどの材木を「桂剥き(かつらむき)」のように薄くして、それを何重にも接着剤で貼り合わせて出来ている。軽くて加工しやすく、また安価で作れることで市場に出たが、その大量に使用される接着剤に問題がある。

2000年当時は、合板家具の接着剤に含まれているホルムアルデヒドが大きな問題だった。ホルムアルデヒドは、加水分解しやすく、湿気があるとすぐに分解して揮発し、家具の外へ出てきてしまう。壁紙やビニールクロス等を貼るのにも、接着剤は大量に使用されるので、シックハウスで発症する一番の原因物質もこのホルムアルデヒドだった。〔注:現在は、規制により家具のホルムアルデヒド含量は減少したといわれる。しかしその代替品として、成分をわずか変えただけの接着剤が多用されるようになった。そちらは規制対象外なので、基本野放しの状態である。業界と規制は“いたちごっこ”であり、危険な家具自体は決して減ってはいない。(参考 「空気に漂う危険な物質」 柳沢幸雄 『月刊保団連』 2022/3月号 特集「香料にひそむ健康リスク(化学物質による不調を見極めるために)」より)

コメント

  1. 丹地節 より:

    今、NHKあさイチでMCSについての特集を放映しています。8月2日0800〜、専門家として千葉大学医学部坂部貢特任教授が出演して良く分からないことを述べています。事例として、30才台の女性(5年前に職場で柔軟剤に激しく反応し頭痛)、女子高校生、小6の男子生徒が出演していました。見逃しビデオを探せば再視聴可能です。原因と治療方法が不明との特任教授の話しに落胆しました。MCSの研究の実態と方向性や、社会的取組みについて噛み込んだ医療現場の話が聞けませんでした。残念です。今、特任教授がこの病を治す方法をなんとかしたいと主張しますが、その方向性を云々してくれないので何か無責任な感じです。トムにゃん。

 
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