北里病院・魅惑のクリーンルーム

3-1 熱い想い、募る期待

北里大学北里研究所病院 by Angriff (licensed under CC Ver3.0 BY&SA)

そこには何か、一種不思議な熱気、のようなものが漂っていた。

熱気というか、熱意というのか。うっすらとした期待感と、そして同じくらいの不安感も。

普通の病院の待合スぺースとは、あきらかに雰囲気が違っていた。普通はもっと、気怠いというか暗いというか。それはそうだろう、身体の具合が悪くて、何かの病気じゃないのかと思っていたり、あるいはすでに病気で通院を続けている人がほとんどなのだから。そうして皆自分の診察の順番が来るのを、じっと待っている。

それは私たちも同じだった。ここ北里病院のなかの待合スペースで、診察を受けるべく待っている。ふかふかした白いソファーに座っているのは、男女合わせて6、7人くらい。そうして一同、すぐ向こうにある「診察室」を、じっと見つめている。何やら熱い、フツフツしたものをたぎらせながら。

「前の診察が長引いているので、すみません、もうしばらくお待ち下さい」

その「診察室」から、看護師さんがきびきびとした足取りでやって来て、私たちにそう告げた。我々一同頷くと、また看護師さんはきびきびと「診察室」の内に戻ってゆく。

そこは、二重の自動ドアで仕切られていた。見ていると、どの看護師さんも皆、一つの自動ドアが閉まり切るまでは、もう一つの自動ドアを開けないよう、気を配っていた。特に、今私たちがいるこちら側から、内に入るときがそうだった。そうして極力、こちらの空気が内へは入らないようにしている。

あれが、”魅惑のクリーンルーム”か・・・。

私は思った。あの二重ドアの向こうは、こことはもう違う別世界。あのなかはこっちとは、まるで違う空気が流れている。まるで三ツ星高級ホテルかセレブ御用達クラブか。はたまたお城か宮殿か。とにかくそんじょそこらにある診察室とは”つくり”が違うのよオーホッホッホ!

※これは2,000年当時の話です。現在北里病院では、これらの治療は行っていません

第3章をイッキ読み
第3章の全文掲載完了に伴い、日々のブログ記事を1ページにまとめたイッキ読みのページをご用意させていただきました。 長文となりますがご興味をいただけましたら、お読みいただけましたら幸いです。
CSの認知・理解を広げるためシェアにご協力下さい
奥野井タリカ 私の化学物質過敏症(CS)

コメント

 
タイトルとURLをコピーしました