仕掛けられたうつ(chaptor3)

8-1 有吉佐和子『複合汚染』を読む

「化学物質でうつになる」

と、前の章chapter2でしつこい程繰り返したのですが、でもそれって本当にそうなの? 化学物質過敏症の人だけがそうなんじゃないの? と思われる方も多いのではないだろうか。

なのでこのchapter3では、出来うる限り客観的に、「ヒトは本当に化学物質でうつになるのか」ということを検証してみたいと思う。むろん私としては、「なります!」と言いたいわけだが、しかしそれを「証明」するとなると、なかなかどうして難しかったりするのですが…。

まず手始めに、有吉佐和子著の『複合汚染』を見てみよう。私に「化学物質の影響で自殺したくなるのよ」と教えてくれたSさんが、「読んでごらんなさい。なかにとんでもない表が出ているから」と言っていた、あの本だ。

と、その前に『複合汚染』という本について、簡単に紹介してみたい。
『複合汚染』は、作家有吉佐和子が、昭和49年の10月から翌50年の6月にかけて、朝日新聞の小説欄で連載し社会に一大センセーションを巻き起こした、今でいうところの環境ルポルタージュである。

(c) 主婦と生活社『主婦と生活』
4月号(1960)

のっけは、有吉自身が市川房枝の選挙戦の応援演説を頼まれ、それに悪戦苦闘するところから始まる。が、そこから話はカマボコやソーセージに入っている食品添加物の話になり、化学肥料と農薬の害、水銀の土壌汚染、合成洗剤の問題、PCB公害、車の排気ガスの害…と次々と広がって語られてゆく。

著者である有吉自身が、その一つ一つの化学物質の害について知って驚き、呆れ、ため息をつく。そのようすを読むうちにいつしか私たちも、なんで日本はこんなに、あっちにもこっちにも化学物質使って“化学物質漬け”にしているの…?

と、何やら空恐ろしくなってくる。そしてその状況は昭和50年当時と今現在と、ほとんど変わらないのだ。

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