奥野井 タリカ

仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-2 二つに割れた心

自殺願望なのか? いやこれはもう願望などという生易しいものではなく、自殺企図、実践計画だった。はっきりとやる気なのだった。 自分でもどこかでわかっていた。この地蔵の如く固まってるのを解除し、少しでも身体を動かしてしまったら、もう駄目だろうと...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-1 ある衝動

なんだこれ? なんなのこれって?? そんな疑問符が頭の中をぐるぐる駆け巡っていた。私は、座ったままじっと身体を硬くして、ひたすら耐えていた。まるで暴風か高波のようなある誘惑が、ざぶんざぶんと激しく襲いかかってくる。ともすればズルズルと、それ...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-17 うつと化学物質

それももう今となってはわからない。すべては後付けの憶測である。確かめようもない。 唯一言えることはただ、「この世田谷アパートにいると、心身共にひどく具合が悪くなり、他所へ移るとその症状が消えたり緩和する」という事実だけである。そしてこの事実...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-16 押入れの悪魔

けれど一つだけ、何年も後になってからあっと思ったことがある。押し入れだ。 アパートを引き払うことに決め、その引っ越し荷物をまとめに行ったときのことだ。中に入っている物を出そうと、そのドア式の押し入れの戸を開けた。 途端に中から、驚くほど甘っ...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-15 環境とうつ?

しかしそのうつも、環境を変えることであっさりと治ってしまった。そのことを当時の私は、「孤独な状態ではなくなったため」と解釈している。がしかし、では8月の一時帰省のときはどうだったのだろうか。あのときは両親はN県に行っていて不在で、だからやは...