奥野井 タリカ

仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-9 何か悩んでいる?

これは、どこから見ても「うつ」だった。 身体のだるさや言葉が上手くしゃべれないといった、一見うつとは無関係に思える症状も、実はうつの範疇に入る。医学的にはこういったうつに付随する身体症状を「精神運動障害(PMP)」というらしい。「気分」だけ...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-8 上手くじゃべれないのだ

またある日には、こんなことも書いている。 なんか最近、現実感、自分がここにいるという意識が薄い。自分の意識が自分自身にパキパキと向ってないこと言う感じで、なんか8ミリを回して自分を見ているよう。なんか、誰かに動かされているような気がする。自...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-7 うつウツ日記

94年、22歳の辺りから、私は日記を書き始めている。日記といっても最初は、ノートにでもなくそこらへんにあった紙に、ルーズリーフ用紙なんかに適当に書き散らしていた。日付も入ったり入ってなかったりで、バラバラ。 なぜか夜になると、書きたくなるの...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-6 アパートと外、おかしいのはどっち?

だがしかし。7日目に遂に限界が来た。理性が恐怖に打ち勝った、といわんより、日々積み重なってゆく延滞料金の恐怖の方が外に出る怖さより勝った、という方がたぶん正しい。私は猛然と返却ビデオと財布を持ち、外に出た。そして自転車に乗り、レンタルビデオ...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-5 返却できない!

しかしまた別のとき、こんなこともあった。 レンタルビデオを、2本か3本、貸りていたのである。DVDではなく、当時はカセットビデオのVHS時代。 返却が1日遅れると、延滞料として1本300円取られるというシステムだった。2本だと1日600円、...