奥野井 タリカ

仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-10 問われない”うつの原因”

「化学物質でうつになる」Sさんのその一言は、衝撃的だった。これまで何年もうつに苦しみ、その原因だ原因だと思っていたことが、一瞬で覆されてしまったのだ。化学物質でうつになるなら、なるほどいくら「明るく考えよう」「ポジティブになろう」と努めたっ...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-9 舞い散る”化学物質”

とにかくそこからは必死だった。必死の網渡りのような会話になった。何とか言葉をひねり出した。「・・・」と失語になりそうな頭をぎゅうぎゅうと絞って、揮身の力で言葉を出す。それを超高速で、自分としては物凄いフル回転でこなさなければならない。でない...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-8 ファミレスでの異変

ベランダの洗たくロープで猛烈に自殺したくなった、その前日のこと。私は友達と会って、外でお茶したのだった。10代の頃からの友達で、このときはわたしが体調が今一つということもあり、彼女がうちの最寄りの駅まで訪ねてきてくれていた。駅前で、さあどっ...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-7 思いがけない一言

あなたそれ、化学物質のせいよ電話の向こうでSさんが、きっぱりとした声で言った。えっ、化学物質??そう、化学物質の影響で死にたくなるのよSさんは、その頃私がよく相談していた、化学物質過敏症(CS)患者支援団体の相談員の人だ。いつ電話をしても、...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-6 これは私の感情なのか?

しかし。「思う」のと「やる」のとは違う。「死にたい」と思うのと実際に「自殺する」との間には、なおかなりの距離がある。あるはずだった、少なくとも私の場合は。だから、これほど日常的に死にたい死にたいと思っていた私でも、実際にそうしようと具体的に...