私は、20年以上前に、この提言書を書かれた小林暁子さんと、会ってお話ししたことがあります。小林さんは、まだ患者になりたての私に、多くのことを教えてくださいました。
「プラスチック容器が使えないっていう人もいるけどね 何日も洗って洗って干せば使えるようになることもあるのよ」
「新しい服は、洗う前にまず2~3週間、干しっ放しにするといいよ。最初に石鹸で洗っちゃうと、かえって良くないみたい」
「化学物質過敏症患者が家族に一人いると、その周りはかえって健康になる。一緒に化学物質を避けて暮らすからね」
何一つ、本当に惜しみなくあらゆることを私に見せてくれ、教えてくれました。この人は芯から「看護師」なのだと思いました。私はこの方から、化学物質過敏症との付き合い方、闘い方を教わったような気がします。それは具体的なことばかりでなく、病気に対する前向きさ、負けない精神性、のようなものでした。もしあの時 小林さんに出会えていなかったら、私はもっと甘えた、世を呪うだけの”ヘタレ患者”になっていたのではないか、と思います。
現在、小林暁子さんは、それまでの化学物質過敏症に加え、約10年程前から慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎も併発し、歩行、立位が困難となり、ほぼ横になった状態で日々を過ごしていらっしゃいます。
参考動画:
慢性疲労症候群の「疲労」は、普通の疲労とは大きく違い、「40度の高熱が24時間365日ずっと続いているような、その間悪漢や冷や汗、全身の痛みに襲われ横になっていても全く楽ではない」状態であるといいます。
そのような状態で、これほどの提言書をまとめ上げたことは、驚異的で、ただただ 脱帽するばかりです。おそらくは、膨大な時間を費やし、生命を振り絞るようにして、この提言書は書かれたのだと、推察します。
ある時小林さんは私に ふとこんなことを話してくれました。
「私はねやれることは全部やるの。やれるうちはとことん、全部やる。極限まで。 するとね、あ~もうダメだーと思った瞬間に、ふっと助けてくれる人が現れたりするのよ。不思議なんだけど」
この提言書にも、その彼女の姿勢が、「とことん極限までやる」という強靭な精神が、その端々にまで行き渡っているように、私には思えてなりません。
私たちもまた、そんな彼女の強い心のありようを、共有し、つなげ、より大きく広いものへとしてゆかなければ…とそう思っています。
どうか一人でも多くの方がこの署名に参加していただけますよう切にお願い申し上げます。
2023.4.25
奥野井タリカ
コメント
小林暁子さんのエピソード、本当に素敵ですね。環境過敏症患者さんたちは励まされると思います。
身体障害者1級で重度訪問介護を受ける小林さんが、ここまで充実した内容の請願書をご作成なさったことには、本当に脱帽です。
環境過敏症、アレルギー疾患、慢性疲労症候群、線維筋痛症などの中枢感作症候群は、ストレスも発症や悪化の原因となりますので、患者の皆さん、ストレスを溜めないよう生活をしてゆきましょう。
個人的には、新しい服は1~2日干して、安全な洗濯石鹸で洗濯し、その後長期間干すのが、効果的のように感じます。
タリカさんのウェブサイトが、環境病患者さんたちの情報交換の場にもなると、いいですね。
こちらにもコメントいただき、本当にありがとうございます! 心強い限りです~。
本当に、小林暁子さんのあの強靭な精神力はどこから来るのだろう…と思いますね。
自分が、大変に苦しいその渦中にあるとき、「他の患者さんも同じことで困っているはず」とはなかなか思えないんじゃないかな、と。
でもそう考えて、実際に行動に移されているところが、本当に凄いなと、思います。凄い。芯からの看護師スピリットをお持ちの方なのだなと…。尊敬します。
おっ、新しい衣類の洗濯、未来を信じる沈黙の春さんはそうするんですね!なるほどなるほどこれもいいかも。
他にも「私、こうしているよ!」って患者さんいらしたら、ぜひコメントお寄せください! 待ってますよ~。