奥野井 タリカ

仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-17 突破口

ある日、母と珍しく口論になった。 その頃私の体調は、相当にひどい状態になっていた。過敏症状の他に、謎の「発作」まで起きるようになっていた。突然身体がずしりと重くなり、何をどうやっても身体が動かない、という状態が2~3時間続く。いよいよヤバく...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-16 父と母の思い込み

このことがやっとわかって、一つ大変に良いことがあった。家族の、私の父と母の誤解が解けたのだ。 私が化学物質過敏症という病気だ、ということは両親も理解していた。だから排気ガスに私が激しく反応するようになると、横浜から東京M市のこの家に引っ越し...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-15 病気の「原因」を考えない私たち

話が何やらどんどん広がってしまったが、かくして私たちは、うつの「原因」なんてあまり考えないようになってしまった。うつだけでなく、その他の精神疾患でも、自閉症スペクトラムや発達障害でも、認知症でも、脳を起因とするあらゆる疾患に対して、そうであ...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-14 消えた「原因論」

かつてはあったうつの「原因論」。身体因性うつや内因性うつといった、心因性(悩みやストレス)をほとんど含まないうつという考え方は、ではなぜ消えてしまったのか。どこへ行ってしまったんだろう? それは、1980年代に改定された米国診断マニュアル第...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-13 心理ストレスばかりがうつじゃない

うつは、心因性だけが原因ではない。身体的要因からも起こりうる。 駄目押しでもう一つ文献を挙げよう。 少し前に話題になった『知性は死なない 平成の鬱をこえて』與那覇 潤(よなは じゅん)著 文芸春秋(文庫増補版2021年)という本にも、 『近...