物語

CS三界に家がない!

9-3 巨大まな板が落ちてくる

その発作は、いつもいきなり、突然やってきた。一瞬前は何ともなかったのに、突然手足が冷たくなり、全身がぐーーっと重たくなってくる。上から押されているような感じで、その重さに押し潰されるように、私はその場にうずくまる。まるで、上から巨大なまな板...
CS三界に家がない!

9-2 どうやってもここには住めない

「だからね、結局化学物質過敏症の患者は、どこか環境のいいところへ行って、そこに自分たちで安全な家を建てて、そこで暮らすしかないんですよっ‼」電話口の向こうで、七尾みち子さん(仮名)は、ほとんど叫ぶようにそう言った。私がべそべそと泣きながら、...
CS三界に家がない!

9-1 CS三界に家がない!

「女三界に家なし」なんて言葉、知ってます? いやー、知らないですよね。もはや死語かと思うんですが。女は、年頃になると「早くヨメに行け」と生まれた家はとっとと追い出され、嫁にいって入った家は基本夫のもので「自分の家」ではなく、そうして年老いて...
仕掛けられたうつ(chaptor3)

8-19 あなたのうつは・・・?

けれど今は。今はあの頃の自分が、世田谷アパートでうつになっていたあの私のうつが、化学物質のせいで起きていたことを知っている。押し入れでプンプン臭っていたバルサン、安普請の合板壁やビニールクロスの接着剤、可朔剤、すぐ裏の幹線道路を昼夜ひっきり...
仕掛けられたうつ(chaptor3)

8-18 仕掛けられたうつ 最後に

あー…わかる。その感情には、自分にも身に覚えがあった。感情というのか、そのさみしさは。夜になると、なぜかさみしくなってくる。身の内からしんしんと、底知れない刺すようなさみしさが、込み上げてくる。自分以外の人たちは、みんな誰かとちゃんとつなが...