奥野井 タリカ

CS三界に家がない!

9-22 何かが少しずつ動き出す

「家族三人で、ちゃんと話し合って決めよう」そう言って父が歩み寄って来てくれたことで、膠着したままビクとも動かなかった状況が、少しずつ動き始めた。「お前が『一人でも逃げる』と決心したことは良かった。パパとママはまだこの家から動けないから。とに...
CS三界に家がない!

9-21 神社をハシゴ

これを書いていて、こんなことを思い出した。東京M市のこの家で迎えた、初めてのお正月。2001年のこと。元旦は、父と母の二人で、近所の神社へお参りに行った。化学者のくせに父は案外神心深いところがあり、お正月には必ずどこかの神社へお参りに行って...
CS三界に家がない!

9-20 母の存在

母の存在が一番大きかったのではないか、と今にして思う。母はとにかく私が大事だった。CSを発症してから、いやそれ以前の原因不明な体調不調の頃から、私の心配をし続け、一緒に苦しみ続けてきた。共に、何度も泣いた。私がうつ状態で、何度か自殺しかけた...
CS三界に家がない!

9-19 父が折れた

夜な夜な、私と母の二人で、「逃げ先」を相談する日々。父には内緒で、二人だけでヒソヒソと話し合っていた。反抗心とかから、父に内緒にしていたというわけではなかった。ただもう、これ以上は無理だよね、と半ば諦めていた。父にはまだ仕事があり、その仕事...
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9-18 家族の断絶、家庭の崩壊

そうしてその家具は、すったもんだの未捨てられたとする。患者の方はほっと安心するかもしれないが、他の家族にはあるわだかまりが残る。ある種の、衝撃がそこにはあるはずだ。ある日を境に、そこにあった家具が失くなる。その空間だけ、ぽっかりと空いている...