そうしてその家具は、すったもんだの未捨てられたとする。患者の方はほっと安心するかもしれないが、他の家族にはあるわだかまりが残る。
ある種の、衝撃がそこにはあるはずだ。ある日を境に、そこにあった家具が失くなる。その空間だけ、ぽっかりと空いている。しかし失くなったのは本当に、家具だけ、なんだろうか?
たぶん、違うのだ。家の中に、合板家具さえ置いておけなくなった、そういう生活に突入した、ということ。それまで送ってきた生活が、今崩れてきているということ。
それはつまり、今いるこの社会、その「普通の生活」から、自分たち家族は外れて滑り落ちてきている、ということだ。そこに漠然とした、あるいは強烈な、不安と恐さがある。スタンダードから外れてゆく、そういう恐さ。
だからたぶん、社会的意識が強い男性の方が、CSを頑なに拒否、否定するのだろうと思う。
CS患者の存在が、家族の中で否応なく「家庭の破壊者」となってしまうのは、こういったことが繰り返し起こるためだ。これは家具一つの話ではない。あらゆる生活のその場面において、この衝突が繰り返される。
追い詰められ、また疲れ果ててゆく家族。CSに限らず、どんな病気でも家族の負担は大きいが、CSに限って特徴的なのは、化学物質を巡って、それを間に挟んで、家族同士が簡単に対立関係になってしまうことだ。
そうしてその対立に耐えられなくなった家族は、関係が壊れてバラバラになってゆく。家庭が崩壊する。科学物質によって破壊された家族は、星の数ほど多くある。
私の家族も、そこに直面していたのだと思う。ましてこのときの私は、もう家具レベルの段階ではなかったのだ。
「家」を捨てて欲しいと、ありていにいえばそれを、それを両親に求めていたのである。
コメント
タリカさん、こんにちは💞寒さが厳しくて病身には応えますが🥶、タリカさんはいかがお過ごしですか?😊この場をお借りしまして、「香害をなくす議員の会」 「香害をなくす連絡会」「カナリア・ネットワーク全国」からの大切なお知らせを告知します!!
『消費者庁が「第5期消費者基本計画(素案)」に関するパブリックコメントを募集しています。来年度から向こう5年間の消費者行政の基本計画を示すものになりますので、香害についての意見を出しませんか?
https://public-comment.e-gov.go.jp/pcm/detail?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&Mode=0&id=235020028
カテゴリーは「国民生活の安全・安心の確保」。消費者庁に意見を入れるチャンスですね。香害など健康被害への対応や、表示について、他の分野のことでも色々と意見を出せると思います。
例えば「GHSマークの表示について」など。GHSマーク(世界共通有害性マーク)
とは、国際分類に基づいた化学物質の有害性を表す世界共通マークです。全部で9種類あり「人体に有害」というマークもありますが、日本の消費者向け製品にはあまり見かけないマークです。しかし、柔軟剤、合成洗剤、消臭剤の「業務用」には「労働安全衛生法」によって付けられているのです。皆さんが使う「消費者向け」の製品には中身は同じなのに付けられていないというのはおかしいですね。
一般消費者向けの家庭用品にもGHS表示をすべきだというような意見は、是非とも多くの人から送っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
(締切1/23まで)』
香害に苦しむMCS患者として私も意見出しますが、香害に苦しむ方もそうでない方も国民の健康と環境を守るために、ぜひ意見を出しましょう🙌🙌🙌