物語

北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-15 もや

6月に入ると、突然顔中真っ赤に腫れ上がり、大慌てした。が、外出して井草地区を離れると、帰る頃には腫れはきれいに引いていた。しかし自室へ戻ると、また腫れは再燃する。「空気が、おかしい」。そんな噂を聞き、星谷は慌てて開け放っていた窓を閉めた。す...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-14 “感じる”空気

また奇妙なのは、その「異常な空気」、汚染空気の存在が、だんだん手に取るようにわかる、感じられるようになってきたことだった。たとえば、強い南風が吹くと、その汚染空気が自宅の内まで、どんどん侵入してくるのがわかる。感じられる。すると咳や喉の痛み...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-13 津谷裕子氏の場合

「空気を調べて。大変なことになる」津谷裕子(つやゆうこ)もまた、この「空気の異常さ」にいち早く気付いた一人だった。参考:空気汚染の健康被害を知ってほしい市民科学者故 津谷裕子さんの著書を公開(NEWSつくば)杉並中継所稼働直後の4月。井草森...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-12 すぐに始まった被害

しかし、4月に本格操業を開始すると、その直後から被害が出てくる。井草森公園で遊んで帰って来た子どもが、帰宅30分後に急にまぶたが腫れ上がり、咳、鼻水、目やになどの症状がかなり長期間続いた。スーパーに行くため、公園沿いの道を歩いていた女性は、...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-11 「杉並病」を知っていますか?

「杉並病」、ときいても今の人は、知らない人が大半だろう。もう25年以上前のことになるから、当事者以外の人はすでに忘れてしまったのではないか。実際、社会的世間的にもこの「杉並病」のことは、何か強力な魔法でもかけられたかのように、きれいさっぱり...