物語

世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その12

奇妙な感覚、とはつまり、コロナウィルスの出現でもって、不思議と「世界」の方が、CSに近付いてきているのではないか、CS的になってきているのではないか、という感覚のことだ。私の勝手なこじつけかもしれないが、どうもそう思えてならないのである。コ...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その11

感染拡大で、人々が一勢にマスクを着用し始めたとき、私は奇妙なある感覚を覚えた。CS患者はもともと、マスク常用者だった。嗅覚過敏があり、人より何十倍も強くにおいを感知してしまうので、マスクなしでは通りも歩けない。いつも顔の半分を大きなマスクで...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その10

絶海の孤島に一人流されたと思っていたのに、何やらこのところ、こちら側にやって来る人がやけに多い。あちらの「世界」や「社会」から、ぽろぽろと転がり落ちてきた人が、ほうほうの呈でこの島に、「こちら側」にやってくる。それは、CSばかりではなかった...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その9

私は、遠い向こう岸に見える街を、じっと眺めている。時間は夕暮れどきで、遠くに見えるその街には、ぽつぽつと灯りがともり始めている。きれいで、華やかで、そして賑やかなその灯り。その下にはたぶん、人が大勢いて、それぞれが活動して、活気に満ちている...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その8

発症してまだ日も浅い、あるとき。急に一瞬にして、と思った、というか理解したことがある。完全にばっきりわかれたな・・・この「わかれた」は、「分かれた」であり、また「別れた」でもある。つまり自分のいるところと、友人知人、親類縁者一同のいるところ...