物語

世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その7

それからの約3年間は、見ようによっては実にハランバンジョーな日々になった。引っ越しに次ぐ引っ越し、家移りに次ぐ家移りの連続である。住まいを転々と変えたこと、実に7回。そのうちの3回は、家族ごとの大々的な引っ越しになった。これはCS患者にはさ...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その6

とにかく開けた窓を閉め、這いつくばって部屋の外へ逃げた。居間の方では両親がまだ起きていて、テレビを観ていた。た、たすけてー・・・そう言おうとしたが、言えなかった。しゃべれないのだ。なぜか口から声が1つも出てない。と同時に「助けて」という単語...
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世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その5

寝る前に、自室のベランダの窓をほんの少しだけ開けた。私の家は2階にあり、その窓のすぐ下は植込みで、椿の木が3本程植わっている。椿にはチャドクガという蟻がつくといわれており、農薬散布は特に念入りに行われているはずだった。だから警戒して、2セン...
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世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その4

夏は一番、体調が下がる。暑さと、アトピーの悪化とで消耗するので、私にとっては一番きつい季節だ。冬の今こんな状態では、とても夏を越せるとは思えない。その自信もない。そして八月になった。私の住んでいる団地で、団地内にある植込みの木々や花壇の花々...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その3

病名が付かない。疲労感、アレルギー、うつ・・・症状はあるもののどれも中途半端過ぎて、一つの病気にまとまらないのだった。仮に病院へ行ったとしても、アレルギーはアレルギー科で、うつは精神科で、と各科で診察を受け薬を受け取るだけ。でも何か、それは...