仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-12 かつてはあった「うつの原因論」

注意! 本章には、かなり強いうつ、自殺衝動の描写があります。フラッシュバックやPTSD等を懸念される方は、どうぞ体調を優先なさってくださいますようお願い申し上げます。

そうした現場の混乱の声の未に出て来たのが、「ディメンジョン」という考え方だった。

うつ病の原因をくっきりとしたカテゴリーで分けるのではなく、程度というか割合というか、もっとグラデーション的に分けるのである。白か黒か、ではなくその中間色を認め、グレーであっても白により近いのか黒の度合いが多いのか、というふうに。現在の「スペクトラム」に近い考え方だ。(自閉症や発達障害などはスペクトラムで考えられている)

この「ディメンジョン」的思考でうつ病の原因を再分類したのがキーホルツという人。現在、精神医学の教科書には必ず出ているという「キーホルツ分類法」では、次のようになっているという。

うつ病を、大きく3つの原因にまず分ける。

  1. 身体因性うつ
  2. 内因性うつ
  3. 心因性うつ

1は、うつの原因として身体的要因が多く、逆に心理的要因はほとんどないもの。2はどちらの要因も一定量あるもの。3は身体的要因はほとんどなく、心理的要因が多いもの。

このように3つの段階に分けたのである。

で、なぜ長々とこんな解説を続けているかといえば、ここで私が鼻息荒く大いに強調したいのが、

心因性じゃないうつもあるではないか!!

ということなのだ。「身体因性うつ」「内因性うつ」といった、心理的なもの、悩みやストレスをさして含まないうつが、ちゃんとある、いやあったのだ。このような分類をしていること自体、そういったタイプのうつ病患者が一定数おり、医療側もそれをちゃんと認識していたことを示している。現代のように「原因問わず」ではかつてなかったのだ。

これを読んだとき、私は大いに興奮した。「我が意を得たり」の気分で、誰彼かまわずこのことを言い廻りたくなった。

心因性ばかりがうつじゃないんだぞぉぉぉっ・・・!! と。

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