CS三界に家がない!

9-28 りんごがやばい

こんなこともあった。

郵便を出しに行こうと、郵便局まで歩きで出掛けた。

ここ父の別荘は、少し山に入ったところにあり、なのでポストのある郵便局まで約2キロ程ある。家に籠ってばかりいても退屈だし、身体も動かさないので、てくてく歩いて行くのもいいんじゃない?と思った。もともと歩くのは大好きだし。

ところが。歩いている途中から、やけに息が苦しくなってくる。そんなにハイペースで歩いているわけでもないのに、呼吸がしづらい。また首の後ろや肩もキュッと固く強張ってきて、目もキーンと刺すように痛くなってくる。何だ、これは。

なんでだろう?と思い、そしてはっと気付いた。りんご畑のすぐ横の道を、私は歩いていたのだ。農薬か!

しかし3月下旬のこの頃は、まだりんごの農作業は何も始まっていなかった。農協などに以前尋ねてみたところ、本格的に農作業が―農薬散布ももちろん含む―始まるのは、4月中旬からだと。見たところでりんご畑で、誰かが作業している姿もなかった。

と、いうことはつまり、今私が反応しているのは、昨年散布されたものなのか。その去年の農薬が、畑の土に残留していて、それにやられているんだろうか。わずか揮発している?でもまだこんなに気温が低いのに?

結局郵便局に着いたときには、家を出発したときの元気はどこへやら、疲労感と倦怠感で身体はどっしり重く、もうぐでぐでだった。仕方なく帰りはタクシーに。

このことで思い知ったのは、想像以上に、りんご畑の農薬がやばい、ということだった。私の反応も激しく強いし、おそらくりんごへの農薬使用量もかなり多いんだろう。畑の土にはその農薬が、類積して残っている。一年分、じゃなく何年、何十年分も。

今いる父の別荘は、そんなりんご畑に囲まれていた。特に家の裏の高い斜面は、広大なりんご畑だ。段々になったところに、りんごの樹がずらーっと植えられている。地元の人はここを「りんご団地」と言っていたが、まさに。

あの高い斜面で撒かれた農薬は、間違いなくより低い、家の方へと流れてくる。直撃だ。今の農閑期でも私のこの反応ぶり、ならば4月以降10月中頃まで続く農繫期には、どうなってしまうのか…。

ここにも、長くはいられない…

厳しい現実が突きつけられてくる。

また、逃げなきゃならないのか…。

逃げて、逃げて。いったいどこまで逃げなくてはならないんだろう。

次の逃げ場所は、それまでも探していた。有機農業の人に尋ねたり、知り合いの知り合いの人に聞いたり。しかし見付からない。どうしよう。どうしたらいいんだろう。

そんな矢先、例の意識障害の発作が起きたのだった。家の外の、庭先で。まるで駄目押し、最後通牒のように。ここから、出て行け。

ちくしょう、またか。

また来たか。追いついてきたか。
どこまでも化学物質が、追いかけて来る。地の果てまで私を。

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