CS三界に家がない!

9-34 床下の怪物

こうして私は、やっと下田の地で健康を取り戻した。かと思った。いやぁやっぱり環境の良いところに来れば、私も普通の人並みになるのだなぁ~イエイイイエイ。

しかし5月に入ると、体調はまた不気味に迷走し始める。ん? あれ? 何だこれ?? というようなことがじわりじわりと増えてくる。

眠れない。

または眠り過ぎる。

「眠り」は、私の場合自分の体調を判断する、一種のバロメーターだった。何らかの化学物質に反応していればてきめんに眠れなくなり、その何かを取り除けばスッと眠れるようになる。

また眠り過ぎるというのも、ちょっと問題だった。眠っても眠ってもなお眠いというときは、やはり何かに反応している。特に私は農薬、ことに除草剤に曝露すると、急激に眠くなる傾向があった。立ってられない位、ガクーンと眠くなるのだ。

このアパートに移って約半月、そんな「眠り」のアンバランスが生じてきていた。何か、ヘンだった。

そうこうしているうち、別の過敏反応も増えてくる。食品に対する反応、水に対する反応、においに対する反応。バスに乗ると車内は何かがキツく、手にはまたいつの間にか湿疹が出来ていた。何だ、何だ何だこれは?何が起きているんだ?

妙な、ニオイがする・・・。

5月下旬。居間の部屋にいると妙なニオイがして、鼻に付くようになった。甘ったるい、古い化粧品のような、学生の頃演劇部で使っていたメイク道具のドーランのような、甘く油っぽいニオイ。それはあきらかに、キッチンの板の間よりこっちの居間の方がキツく臭う。ムカムカして、気持ち悪い。少し頭痛もする。

何だこのニオイ…どっからきてるんだろう…?

恐る恐る、あちこちのニオイを嗅いでみる。すると押し入れの中と、板に敷いたじゅうたんから、強くにおってくる。

この居間には、家から持ってきたじゅうたんを敷いていた。もとは畳敷きだったのだが、畳に反応するCS患者が多いというので、父が頼んで撤去してもらっていた。だからじゅうたんの下は、ベニア板剥き出し。

ともかく急きょ、寝床をキッチンの板の間の方へ移す。ニオイがきつくてとても眠れそうにない。

その晩は何とか眠れた。が、朝起きてみると身体はバリバリ。全身は固く強張り、関節は上手く動かず、何というかもうぎくしゃくぎくしゃく。一晩でものすごい反応ぶりだった。そしてこの朝からもう、私は居間の方では5分といられなくなる。

5月23日の日記に、私は自分の症状をまとめてこう書いている。

『やっぱりジュータンルームはもうダメになってしまった。

入ると口が苦く、いがらっぽい。舌も少ししびれる。息苦しさ、喉の詰まり、頭もかなり痛い。多少の意識の混乱もある。集中出来ず、行動がバラバラとっちらかる。感情の暴走。イライラとうつのジェットコースター。本も読めない。目が走り字が文字跳びする』

原因は、もうあきらかだった。

床下。

床下に撒かれた白アリ駆除剤。つまり殺虫剤だ。

5月に入って気温が上昇するにつれ、揮発し、床下から立ち上って室内に流れ込んできたんだろう。畳を撤去してしまったのもちょっとまずかったか。再び日記から。

『これらの症状がもし床下に原因があるとすれば、ここ最近の過敏性の進行や体力の低下もある程度説明がつく。説明はつくが…じゃあどうしよう?』

コメント

  1. 未来を信じる沈黙の春 より:

    タリカさん、ブログ管理人さん、こんにちは💞今回は化学物質過敏症の最前線の情報を得る貴重な機会のご案内です🙌カナリアネットワーク全国のウェブから引用します。

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    日本臨床環境医学会「環境過敏症分科会シンポジウム」のご案内
    2025.06.10
    世界で先駆的に環境過敏症の診断・治療・研究した故石川哲教授(元北里大学臨床環境医学センター長)は「日本臨床環境医学会」を設立しました。この学会の「環境過敏症分科会(代表:北條祥子)」が、シンポジウム「疫学・臨床・社会の三次元からみた環境過敏症研究update~病態解明、診療現場の実態、診断と治療の最前線~」を開催します。

    開催日時:2025年6月22日(日)10:00~12:30
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