仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-11 実家で消えたうつ

自分のこの「うつ」の原因は、なかなか見えてはこなかった。

がしかし、その答の一端がちらっと垣間見えた出来事が、偶然起きた。95年の夏のことである。

「留守番しに帰ってきてくれない? 猫つれてくのは大変だって、パパがね」

両親がこの夏の休暇に、N県にある別荘へ行くという。2週間程。それでその間私に、家の留守番と飼い猫の世話をやってよ、というのだった。

おぉ、渡りに舟!と電話でそう言われた途端思った。というのは、この夏のアパートの暑さがもの凄く、ただでさえうつやらアトピーの悪化やらで体調が今イチだったこともあり、大変にこたえていたのだ。世田谷アパートよりは横浜の実家の方が断然涼しい。OKOK大歓迎、とばかりにすたこらさっさと実家に帰った。これが7月27日辺りのこと。

一人だけど、猫もいるし、別段寂しくもない。別に私は悲観的な人間じゃないのだ。孤独にも強いみたい。

いやー、おそろしいほど頭使わんなぁ
(95年8月3日)

プレッシャーがないと、深刻に考えることもないので、ものすごく楽。ちょっと考えなさすぎで脳みそパーかな
(同8月9日)

あとはうーん、書くことそんなにないな。今日も半ページ。はっきり言って書くことないの
(同8月21日)

思い上がりかもしんないけど、私って今現在は”わりといい人”かも。というかそんなに人に嫌われてはいないっていうか。

先輩方からのお誘い(花火大会~)もあるし、○○たちとは今度旅行に行く。後輩ともちゃんと付き合えている。だからそんな悪くない。捨てたもんじゃない
(同8月24日)

この記述のたかだか2ヵ月前には、

サイテー、サイアク。死にそう。何の解決もなく次の日になる。うんざりする。思考自体がマイナスに向ってるから、何が起きてもマイナスにしか考えられないから、明るく考えようとしてもムダなんだよ。なんか本当にもうおかしいかもしれない、言動とか。苦しい。笑ってるのも苦しい。どこかでずっと眠っていたい。なんか全てが面倒くさい
(同6月17日)

なんてことを書いていた人が。同じ人物が書いているともちょっと思えない。たった2ヶ月の間に、こうも心境や考え方、自己認識がガラリと変わるなんてことが、普通あるものなのだろうか?

第6章をイッキ読み
第6章の全文掲載完了に伴い、日々のブログ記事を1ページにまとめたイッキ読みのページをご用意させていただきました。 長文となりますがご興味をいただけましたら、お読みいただけましたら幸いです。
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奥野井タリカ 私の化学物質過敏症(CS)

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