北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-21 トルエンジイソシアネート

杉並中継所が稼働して2年後の、1998年5月。津谷は某所で、ある一つのデータ解析に臨む。

それは、1997年1月30日に、東京都清掃局(杉並中継所を管轄している)が中継所/の南約200メートル地点で観測をした、その空気データだった。津谷は、その生データを請求して入手し、ある研究機関に頼み込んで、自動検索プログラムにかけ読み取らせたのだ。

必ず、出る・・・!

400種を越える化学物質が、次々と出てきた。これまで東京都清掃側が、一切発表してこなかった-つまり隠蔽/してきた-化学物質の数々。シアン化合物、アルデヒド類、水銀蒸気、プラスチックの可朔剤であるフタル酸類。なかでも津谷の目を強く引いたのは

化学物質(イメージ)
©kengssr1980(123RF Free Images)

「トルエンジイソシアネート」

という物質だった。

トルエンジイソシアネート、この「イソシアネート類」は、極めて高い毒性を持つ物質だ。

労働省が定めた、化学物質の「室内濃度指針置」というのがある。人が、一生健康で暮らしてゆける(であろう)室内の許容化学物質濃度を定めたものだ。

たとえばトルエンは、それによると0.07ppmとなる。

一方このトルエンジイソシアネートを指針値にあてはめてみると、

0.000007 となる。

つまりトルエンジイソシアネートは、トルエンに比べ、1万倍少なくなくてはならない。

それだけ毒性が高いのである。

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