奥野井 タリカ

仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-15 病気の「原因」を考えない私たち

話が何やらどんどん広がってしまったが、かくして私たちは、うつの「原因」なんてあまり考えないようになってしまった。うつだけでなく、その他の精神疾患でも、自閉症スペクトラムや発達障害でも、認知症でも、脳を起因とするあらゆる疾患に対して、そうであ...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-14 消えた「原因論」

かつてはあったうつの「原因論」。身体因性うつや内因性うつといった、心因性(悩みやストレス)をほとんど含まないうつという考え方は、ではなぜ消えてしまったのか。どこへ行ってしまったんだろう?それは、1980年代に改定された米国診断マニュアル第3...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-13 心理ストレスばかりがうつじゃない

うつは、心因性だけが原因ではない。身体的要因からも起こりうる。駄目押しでもう一つ文献を挙げよう。少し前に話題になった『知性は死なない 平成の鬱をこえて』與那覇 潤(よなは じゅん)著 文芸春秋(文庫増補版2021年)という本にも、『近年では...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-12 かつてはあった「うつの原因論」

そうした現場の混乱の声の未に出て来たのが、「ディメンジョン」という考え方だった。うつ病の原因をくっきりとしたカテゴリーで分けるのではなく、程度というか割合というか、もっとグラデーション的に分けるのである。白か黒か、ではなくその中間色を認め、...
仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-11 黒胆汁でうつになる?

うつの原因は問わない。うつの症状が出ていればアナタはうつ病-という考え方。しかしかつては、うつの原因について盛んに議論されている時代があった。『うつ病の真実』 野村総一郎著(日本評論社2008年発行)という本がある。うつの歴史、古代から現代...