奥野井 タリカ

仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-16 押入れの悪魔

けれど一つだけ、何年も後になってからあっと思ったことがある。押し入れだ。アパートを引き払うことに決め、その引っ越し荷物をまとめに行ったときのことだ。中に入っている物を出そうと、そのドア式の押し入れの戸を開けた。途端に中から、驚くほど甘っぽい...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-15 環境とうつ?

しかしそのうつも、環境を変えることであっさりと治ってしまった。そのことを当時の私は、「孤独な状態ではなくなったため」と解釈している。がしかし、では8月の一時帰省のときはどうだったのだろうか。あのときは両親はN県に行っていて不在で、だからやは...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-14 なぜ場所によって変わるのか?

そうしてまた、すたこらさっさと実家に逃げ帰ったのだった。9月20日。その10日後の日記がこれ。帰って来て半月たった。身体はだいぶ良くなってきた。肌の方も少しずつ治ってきている。精神的プレッシャーがかかんないのと、あんまり自分のこと考えなくな...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-13 逃げ出したアパート

今日は一日中ほとんど家にいた。というのも台風が来ていたからで。疲れてたし。家にいてだらだらごろごろしていた。考えると暗くなる。考えなければいいのだが人間そうもいかず。なにか、あんまり考えてると違う世界へ行ってしまいそうで怖いのだ。それもいい...
仕掛けられたうつ(chaptor1)

6-12 アパートでまた復活したうつ

この実家帯在は、結局約1ヶ月に及んだ。最初は両親が帰って来たらすぐ世田谷に帰ろうと思っていたのだが、あまりにも心身ともに体調が良いので、ずるずると延ばしたのだった。この帰省中に、ひどくなっていたアトピー性皮膚炎がみるみる治ってしまったこと、...