仕掛けられたうつ(chaptor2)

7-8 ファミレスでの異変

注意! 本章には、かなり強いうつ、自殺衝動の描写があります。フラッシュバックやPTSD等を懸念される方は、どうぞ体調を優先なさってくださいますようお願い申し上げます。

ベランダの洗たくロープで猛烈に自殺したくなった、その前日のこと。私は友達と会って、外でお茶したのだった。

10代の頃からの友達で、このときはわたしが体調が今一つということもあり、彼女がうちの最寄りの駅まで訪ねてきてくれていた。

駅前で、さあどっか入ろう、となった。が、見たところろくなお店がない。こじゃれたカフェはおろか喫茶店すらなかった。仕方ないので、ファミレスに入ることに。

入る前一瞬、「ここ大丈夫だろうか・・?」というのが頭によぎった。そのファミレスは見たところ、まだかなり新しい店らしく、 どこもかしこも真新しくツルツルでピカピカという感じだったからだ。とはいえ他に店もなく、ええい、まぁ何とかなるだろう、と思った。

最初の小一時間は、全然何ともなかった。不味い紅茶を飲みながら、お互い前のめり気味になってしゃべくりまくる。近況のこと、共通の友人の話、最近面白かった映画や本の話。久しぶりに病気を離れた明るい会話で、私も楽しく嬉しかった。

ところが。あるときを境にして急に頭が、頭の中のどこかが、がちゃガチャがちゃっ

となった。実際そんな音が鳴ったような気もした。その感じはなんとも表現しにくいのだが、たとえば頭の中に無数の配線コードが走っているとして、それが突然混線し始めた、混線して通信がまるでデタラメになってしまった、という感じ。あるいは、昔の時計仕掛けのように、組み合わされ嚙み合っていた歯車やネジが、突然ずれて変な回転をし出した、という感じか。とにかく突然「頭ががちゃがちゃ」してきたわけで、実際そこから頭の具合が、ヘンな感じになってきた。

すぐにやってきたのは「言葉の出にくさ」だった。言葉が思い浮かばず、上手くしゃべれない。下手すると口までもつれそうになる。呂律がまわらないのだ。

途端に会話がひどく困難になった。

耳から入ってくる話はわかる。彼女がどういう意味や気持ちでそれを言っているのかは遂一わかるのだ。なのにそれにこたえようとすると、言葉が出てこない。思い浮かばない。いや一瞬ちらっと「こういうことを言おう」というイメージは出てくるのだ。しかしそれが言葉に変換出来ない。単語すら出てこない。度忘れとか物忘れとかいうレベルではなかった。会話の全編でそうなのだ。

何だ、これは・・・?

私は混乱し、慌てた。いったい何が起きたのか、今起きているのか、皆目わからなかった。

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