奥野井 タリカ

世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その6

とにかく開けた窓を閉め、這いつくばって部屋の外へ逃げた。居間の方では両親がまだ起きていて、テレビを観ていた。 た、たすけてー・・・ そう言おうとしたが、言えなかった。しゃべれないのだ。なぜか口から声が1つも出てない。と同時に「助けて」という...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その5

寝る前に、自室のベランダの窓をほんの少しだけ開けた。私の家は2階にあり、その窓のすぐ下は植込みで、椿の木が3本程植わっている。椿にはチャドクガという蟻がつくといわれており、農薬散布は特に念入りに行われているはずだった。だから警戒して、2セン...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その4

夏は一番、体調が下がる。暑さと、アトピーの悪化とで消耗するので、私にとっては一番きつい季節だ。冬の今こんな状態では、とても夏を越せるとは思えない。その自信もない。 そして八月になった。 私の住んでいる団地で、団地内にある植込みの木々や花壇の...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その3

病名が付かない。疲労感、アレルギー、うつ・・・症状はあるもののどれも中途半端過ぎて、一つの病気にまとまらないのだった。仮に病院へ行ったとしても、アレルギーはアレルギー科で、うつは精神科で、と各科で診察を受け薬を受け取るだけ。でも何か、それは...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その2

発症したのは、27歳のときだった。1999年のことで、ちょうど巷では、ノストラダムスの大予言がどうなるのか、とか、2000年問題で湧き立っていた。(知らない方のために解説しますと、ノストラダムスの大予言は、1999年の夏、空から大魔神か巨大...