奥野井 タリカ

病名を知るということ

2-1 体がヘン!でも何の病気か分からない

かなり長い間、私は自分の病気を知らなかった。 化学物質過敏症(CS)という病気の存在を初めて知ったのは、26歳のときだ。すでに過敏症らしき症状は出ていて、それ以外にも身体のあちこちがおかしくなっていたのだが、それが1つの「病気」であると知る...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その14

そこにはたぶん、いろいろな人たちがいる。病気を抱えた人ばかりではなく、貧困下にある人、暴力を受けている人、たくさんいる。 ならば私たちは、その崖っぷちに立てないだろうか。流れてくる水の圧力や、吹きつける強い風にあおられながらも、その世界の果...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その13

「世界の縁に立つ」というタイトルは、ふと浮かんできたものだった。 昔古代の人たちは、地球が球体であるとは知らなかったので、海をずっと行くと、その果てで「世界」は終わり、海は切り立った断崖となってすべてはその向こう側へ落ちてゆくものだと考えて...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その12

奇妙な感覚、とはつまり、コロナウィルスの出現でもって、不思議と「世界」の方が、CSに近付いてきているのではないか、CS的になってきているのではないか、という感覚のことだ。私の勝手なこじつけかもしれないが、どうもそう思えてならないのである。 ...
世界の縁に立つ

世界の縁に立つ-私の化学物質過敏症 その11

感染拡大で、人々が一勢にマスクを着用し始めたとき、私は奇妙なある感覚を覚えた。 CS患者はもともと、マスク常用者だった。嗅覚過敏があり、人より何十倍も強くにおいを感知してしまうので、マスクなしでは通りも歩けない。いつも顔の半分を大きなマスク...