物語

北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-28 そして香害へとつながった

イソシアネートは、全国に広まった。柔軟剤の、その香りに乗って。津谷が事態に気が付いたときは、すでに香りは日本の津々浦々、あらゆるところまで広がり、そこの空気のすべてを、香りで満たしていた。イソシアネートという、猛毒をまきちらしながら。 その...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-27 マイクロカプセル

2010年頃から、香りが長時間、いや長期間続く製品が相次いで発売されていた。花王「香りつき柔軟剤ハミング」、P&G「レノアハピネス アロマジェル」などがその最初だった。 調べてみると、これらの製品では香りを長く持続させるために、香料成分を極...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-26 柔軟剤からなぜ?

このときから約17年後の、2015年夏。津谷はふたたび、このイソシアネートと対峙することになる。 「大変!イソシアネートの値が高過ぎる!!」 計測器の目盛りを見て、津谷は思わず声を上げた。2台持ち込んだ計測器のうち、1台の針は高い数値を指し...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-25 “こすれあう”と出てくる!

その発生メカニズムも、津谷はすでにわかっていた。 イソシアネート類は、プラスチックから出てくる。プラスチックの、ウレタン系のものから発生するのだ。ウレタンが、何かしらの衝撃とかこすれにあい、そこに熱や水分が加わったりして化学構造に変化が生じ...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-24 杉並病の原因物質

イソシアネート類がアレルギーを起こさせるところは、ほぼ全身に及ぶといっていい。目や鼻の粘膜、皮膚、気管支といった外界と接するところから、肺、心臓、脳の中枢神経、血管といったより身体の内部まで。血管がアレルギー反応により、けいれんや収縮を起こ...