かなり長い間、私は自分の病気を知らなかった。
化学物質過敏症(CS)という病気の存在を初めて知ったのは、26歳のときだ。すでに過敏症らしき症状は出ていて、それ以外にも身体のあちこちがおかしくなっていたのだが、それが1つの「病気」であると知るまでに、ゆうに5年は、かかったのだった。
身体がおかしくなり始めたのは、まだ学生の21、22歳頃からだ。東京の世田谷にあるアパートで一人暮らしを始め、1年程過ぎた辺りから。
まず一時期完全に治っていたアトピー性皮膚炎が、再発した。最初は手の平にブツブツと出てきて、それが年ごとに全身に広がっていった。
それから、うつが出てきた。気分が落ち込むことが多く、極力人に会いたくない。また人に会っても、なぜか思うようにしゃべれなくなった。言葉がとっさに、口から出てこないのだ。なぜこんなにしゃべるのが下手になったのか、自分でも訝しむ程。
また、ときどき引き込もりにもなった。どうしてか、強力に、もう梃子でも外へ出たくなくなり、アパートに一人閉じ籠ってしまう。ゴールデンウィークの間ずっと、買い物にも出ずアパートに居続けたこともあった。
そして、うっすらと過敏症らしき症状も出てきた。
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