「お待たせ致しました、では皆さん、ご入室下さい」
やっと看護師さんがやって来て、私達に告げた。一同期待を胸に立ち上がる。そしてあの、二重ドアの向こうへと足を・・・み、魅惑のクリーンルームの扉が、ついに・・・!!
・・・あらぁ?
どんなに素晴らしい空気なのか、と思っていたのだが、案外そうでもなかった。外と内とでも、そう変わらん気が。私はあまり、「におい」を強く感じないタイプのCSだったので、余計にそう思ったのかもしれない。
確かに、内の方がかなりマイルドな気はした。でもこう、森とか高原とかの、サワヤカーな清涼感あふれる空気・・・とかではない。むしろやや、もったりとしている感じがする。ううむ、やっぱり巨大ではあっても空気清浄器で“作った”空気というのは、限界があるのかもしれない。都会のど真ん中だもんなぁ、ここは。天然自然の空気には、やはりかなわないということなのかしらん。
入室するとまず、ロッカールームで着替えるよう指示された。下着を残して、あとはすっぽり全部着替えるという。
ロッカーに入っていたのは、生成り色した、オーガニックコットン100%の服だ。上は、前で合わせてヒモでくくるタイプのもので、下はだぼっとしたズボン。ちょっと作務衣か甚兵衛みたいな感じ。同じ素材のタオルと靴下も借してくれる。
なんかこれって・・・
着替え終って見渡すと、老いも若きも男も女も、全員このタオル地っぽいだぼだぼ甚兵衛姿。どうもだんだん、温泉か健康ランドに来ている御一行様、みたく見えてくる。タオルを首にかけたりするとこれがまた。ホントにここは病院か!?いや何か笑える。同じことを思ったのか、隣のロッカーの女性も苦笑していて、思わず2人で笑い合う。
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