北里病院・魅惑のクリーンルーム

3-16 離脱せよ!

「反応しないのなら別に構わないんじゃ?」と思うかもしれない。が、わからないがゆえに刺激の負荷、ストレスはずっとかかり続けるわけで、身体もそれによって害され続けることになる。

そのため、原因不明の身体症状が次々と身体に起きてくる。押し付けた「恒常性」という大きな蓋の横から、ニョロッとはみ出してくるかのように、頭痛や疲労感、身体の痛み、アレルギーの悪化やうつ、等々が出てくる。

でも原因はわからない。

じゃどーするんだよ⁉って話ですよね。いやいや方法が、一つあるのです。

その原因物、「刺激」から離れることだ。離れて、身体を一定期間その刺激を受けない状態にすること。これが「離脱」である。

「離脱」状態になると、マスキングは外れる。解除されるのである。そして隠れていた本当の反応性が、表に出てくる。どうもこの「離れる」というのが、大きなポイント、ミソであるようだ。

実例を上げてみよう。

ハーバート・リンケルという、アメリカの医師がいた。この「隠れ型反応」ともいうべき生体反応に、最初期に着目した人物である。それは自らの、こんな実体験に基づいていた。

まだ若い医学生だった頃、リンケルは大変に貧乏で、生活も苦しかった。早くに結婚してしまい、子供も2人いる。

なので食事のタンパク源は、カンサス州で農場を営んでいる父親が毎週送って来てくれる、1グロス(約144個)の卵に頼っていた。家族4人で一日一人当たり、5個程食べることになる。かなりな量だ。

卵を多食するようになると、リンケルはひどい鼻炎に悩まされるようになった。くしゃみと鼻水がひっきりなく出て止まらない。何度か医者に行ってみるものの、原因はわからず、症状も一向に治まらなかった。

これは卵によるアレルギーでは?とそう考えたリンケルは、自分の身体で実験すべく生卵6個を一気飲みしてみた。が、特に身体には何の反応も出てこない。何だ、卵じゃないんか…。

※これは2,000年当時の話です。現在北里病院では、これらの治療は行っていません

第3章をイッキ読み
第3章の全文掲載完了に伴い、日々のブログ記事を1ページにまとめたイッキ読みのページをご用意させていただきました。 長文となりますがご興味をいただけましたら、お読みいただけましたら幸いです。
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奥野井タリカ 私の化学物質過敏症(CS)

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