北里病院・さっぱりわからん!検査編

4-19 ”ぎゅんぎゅん”モードも大変

え、じゃあさ。

農薬の影響で、副交感神経が過剰になってしまうというならば、じゃあ交感神経の過剰は、どんな化学物質によって引き起こされるのだろうか?

と、それはシックハウスの原因物質の一つである、トルエンなのだという。塗料や接着剤等に使用されており、またシンナーの主成分でもある。

この北里病院受診より半年ほど後、私は当時住んでいた団地にも住めなくなり、急きょ静岡県伊豆地方へ逃亡することになる。そのとき現地で、やはり同じように逃げてきた化学物質過敏症患者の女性と、偶然知り合った。

彼女は、シックハウスでCSを発症した、かなりの重症患者だった。その彼女いわく、「交感神経のスイッチが入るのが、自分でもわかるのよ!」

何かやり始めると、止まらなくなると言うのだ。まるで高速モーターがぎゅんぎゅん回っているかの如く”活発モード”が止まらなくなる。何事も一気にダダダーッとつっ走ってしまい、とことんまでやってしまうのだという。

たしかに見ていても、行動力のある、もの凄くパワーに溢れた人だった。つねに低調低空飛行の副交感神経優位モードの私からすると、羨ましい位だった。しかし当人は、

「頭はいつもカッカとしてるし、イライラも強いし…苦しいわよ、すごく」

また活発なぶん、かえって反動が大きいのか、体調は崩れやすいようだった。風邪などを引くと、今度は一気にダウンしてしまい、「1ヶ月は寝込む」という。「感染症にすごくかかり易い」とも話していた。逆に私などは、アレルギー症状は強いのだが、風邪にはめったにかからなかった。

なるほど、同じ化学物質過敏症患者であっても、交感-副交感の優位タイプの別で、出てくる症状はかなり違ってくるのかもしれない。

もっともこれは、大雑把な区分で、そうくっきりと分かれているものでもないようだ。多くの化学物質過敏症患者は、この両方、つまり交感優位と副交感優位を、つねに行ったり来たりしている。まるでシーソーのように両極を、ぎったんばったんと激しく行き来しているのだ。実のところそれが、その落差と変動の激しさが、化学物質過敏症のやっかいで、非常に苦しむところなのだが。

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