サリン中毒と化学物質過敏症に、このように共通点が多いのは、偶然でも私のこじつけでもない。吸引した化学物質が、基本的に同じものだからだ。
サリンもまた、有機リン系物質である。
だから農薬と同じように作用し、同じような症状が出るのも、ある意味当然、なのである。
いやいやでも、一方は兵器としての神経毒ガス、もう一方は野菜、農産物に使用する薬剤、同じ物質といってもそれはいろいろ、違うんでしょ? とあなたは思うかもしれない。が、残念ながらそれは違う。
『第二次大戦以後、有機リン系毒ガス兵器の系譜は、その毒性を弱めた殺虫剤として受け継がれ、TEPP、パラチオン、DEP、シェラーダン、メチルジメトン等が農薬として市場に出たが、農業者の中毒事故が多発したため、さらに急性毒性の弱いMEP(フェニトロチオン 商品名スミチオン)、IBP(イブロペンホス)、DDVP(ジクロルボス)等に姿をかえ、現在でも使われている』(『農薬毒性の辞典第3版 植村振作 河村宏 辻万千子著 三省堂 2006年発行より』
戦時中に開発した神経毒ガスを、戦後になって(余ってたんですかね?)「平和利用」したのが、農薬のそもそもの始まりなのだった。だから「虫には効くがヒトには無害」と農薬製造会社が言うのは、はっきりいって嘘である。
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