CS三界に家がない!

9-25 その一言

結婚した、その嫁ぎ先の家が新築家屋で、しかもひどいシックハウスであった。それがもとで化学物質過敏症を発症してしまった松本かなえさん(仮名)。

思わず私は、尋ねた。
「御主人は、あなたをかばってくれないんですか?」

「全ー然。完全に両親側に付いちゃってね、一緒に責め立ててくるのよ。

『精神的に弱いからそんな病気になるんだ』

とか、

『お前と結婚したせいで俺の人生設計が狂った』

とか。散々ひどいこと言われた。私ね、CSになったことはもう後悔してないけど、あの男と結婚したことだけは、一生の不覚だった、って思ってる」

結局、離婚して家を出ることになった。当のシックハウスからは解放されることとなったが、同時に帰る家も失う。

「実家も、全然駄目だった。CSのことを何にも理解してくれない。母は、どんなに頼んでも合成洗剤や柔軟剤使う洗濯をやめてくれないし、父の方は煙草。・・・二人とも、私が離婚したことが大いに不満なのね。『なんであんないい結婚をつぶした』、『お前はわがままだ』って。何かもうね…身の置き処がない…」

実家であっても、そこは居られる場所ではなかった。室内に充満し漂う合成洗剤や柔軟剤の香り、煙草のにおい。それら化学物質から片時も逃げられず、身体は容赦なく痛めつけられる。その上離婚したことまで日々責められるのだ。地獄である。

「それで、今いるペンションに逃げたんですね?」

「そう。オーナーの女性がすごくいい人でね。CSのこともちゃんと理解してくれた」

「でも、宿泊費はやはりかかりますよね」

「かかるねー。少し割安にはしてもらってるけど。会社勤めしてた頃の貯金を、食い潰してる。だからそんなに長くはいられないよね、ここにも」サバサバとした口調でそう言う。

「でもいいの。行けるとこまで行くよ。私はね、もう一生、空気のきれいなところで暮らすって、そう決めたの」

さらりと、しかし芯のあるきっぱりとした声で、彼女は言った。私ははっとした。

コメント

  1. 未来を信じる沈黙の春 より:

    タリかさん、こんにちは♥こちらも雪が降り続き積もってきましたが、そちらは大雪でしょうか?大手メーカー(P&○、花○、ライオ○)の出している洗濯洗剤が除菌消臭剤入っている物が殆どで、大気が除菌消臭剤で満たされていて、すっかり体調崩しています(咳き込み、喘息発作、気道や肺の痛み等)。先行き不安だらけです・・・

    カナリアネットワーク全国が、5省庁連盟の香害ポスターへの要望を募集していますので、皆さん是非要望を出しましょう!!

    https://canary-network.org/news/poster2025/

 
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