北里病院・魅惑のクリーンルーム

3-11 おしゃべりワイワイ

着替えが済むと、今度は小さなラウンジのようなところに通された。そこでまた少し待たされる。最初は皆黙っていたのだが、まったく同じ格好をしている気安さもあってか、どちらからともなくしゃべり始める。もちろん話は、自分のCSのことだ。

私はシックハウスです。新築の家に入ってやられちゃって。もう身体のあっちこっち全部おかしいですよ。鼻とか唇のふちがね、切れちゃうんですよ、こうカミソリで切ったみたいに、スパッと。だからマスク、ちょっと外せないんですよー

と、30代半ばくらいの、マスクをした女性が言う。

あ、僕もシックハウスです。新しいマンションに入居したら、なってしまって。体調、ものすごく悪くなりますよね。僕も毎日会社行くのがやっとです。排気ガスがね、もうつらいんですよ

そう言ったのは、やはり30代くらいの若い男性だ。サラリーマンらしい。車の排気ガスと聞いて、俄然私は身を乗り出す。

私も排気ガスは全然ダメです!一度なんて倒れましたよー

そう言うと男性の方も、

いやわかります。くるしいですよねー。僕も部屋にいると、窓から排ガスがじわーっと入ってくるのがわかるんです。反応してしまうから、もう身の置き処がなくて・・・

 

あ、それ私も。何しろ私の家の裏が、輸送トラックの発着場なんです。もう早朝から夕方遅くまで、ガンガンアイドリングしてるの!おまけにもう少し先にはごみ焼却場まであって。窓なんてもう1センチも空けられない

と、また別の女性が言った。さっきロッカーのところで私と笑い合った女性だ。う、うへえ、トラックの発着場が家のすぐ裏ってそれは・・・。

※これは2,000年当時の話です。現在北里病院では、これらの治療は行っていません

第3章をイッキ読み
第3章の全文掲載完了に伴い、日々のブログ記事を1ページにまとめたイッキ読みのページをご用意させていただきました。 長文となりますがご興味をいただけましたら、お読みいただけましたら幸いです。
CSの認知・理解を広げるためシェアにご協力下さい
奥野井タリカ 私の化学物質過敏症(CS)

コメント

 
タイトルとURLをコピーしました