物語

北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-23 強力なアレルギー物質

さらにもう一つ、このイソシアネート類に特有の、大きな特徴があった。 このイソシアネート自体が、強力な「アレルギー物質」である、という点だ。 つまり、イソシアネートを吸引したり接触したりして曝露すると、身体が「感作」され、イソシアネートに特異...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-22 インド・ボパール事件

ゆえに人体への影響も、相当に強い。わずかに吸引しただけでも、呼吸器系に障害が出る。気管支炎、喘息、より重症化すると肺が繊維化する肺繊維症や、肺の壁の細胞が炎症を起こす間質性肺炎になる。 激しい喘息発作を起こし、一晩で亡くなることも決して珍し...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-21 トルエンジイソシアネート

杉並中継所が稼働して2年後の、1998年5月。津谷は某所で、ある一つのデータ解析に臨む。 それは、1997年1月30日に、東京都清掃局(杉並中継所を管轄している)が中継所/の南約200メートル地点で観測をした、その空気データだった。津谷は、...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-20 科学者の使命・黒田チカの言葉

しかし実際のところ、杉並中継所からは何が出ているのだろう?これほど広範囲に健康被害をもたらした、あの汚染空気のなかには、いったい何が含まれているのだろうか? 杉並中継所に持ち込まれるプラスチックごみは、焼却されているわけではなかった。地下施...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-19 杉並病と化学物質過敏症

郷里和歌山に戻った星谷も、安全な暮らしとは程遠い日々だった。近所で頻繁に燃やされる家庭ごみや野焼きの煙、排水より立ち上ってくる合成洗剤のにおい、車の排気ガス…どこへ逃げても何かが追いかけてきて、身体は反応した。激しい症状が出て、そのたびに倒...