物語

北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-30 あぁどうしたらいいの

どう考えても、ここには住めない。何とか対処すれば何とか住めるなんて、そんなレベルじゃない。間違っていた。間違った引っ越しだったのだ。唯一の対応策は、「もう一度別の場所へ引っ越すこと」。それだけだ。だがあぁしかし、引っ越してきたばかりじゃない...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-29 「杉並病」との直面

話がずいぶん先までいってしまった。急いで時計の針をまた、2000年当時まで戻そう。北里病院を受診する半年ほど前、私は両親と共に、東京都M市にある公団ニュータウンに引っ越した。以前住んでいた横浜の家が、周辺の車の排気ガス汚染がひどくて、住んで...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-28 そして香害へとつながった

イソシアネートは、全国に広まった。柔軟剤の、その香りに乗って。津谷が事態に気が付いたときは、すでに香りは日本の津々浦々、あらゆるところまで広がり、そこの空気のすべてを、香りで満たしていた。イソシアネートという、猛毒をまきちらしながら。そのな...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-27 マイクロカプセル

2010年頃から、香りが長時間、いや長期間続く製品が相次いで発売されていた。花王「香りつき柔軟剤ハミング」、P&G「レノアハピネス アロマジェル」などがその最初だった。調べてみると、これらの製品では香りを長く持続させるために、香料成分を極小...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-26 柔軟剤からなぜ?

このときから約17年後の、2015年夏。津谷はふたたび、このイソシアネートと対峙することになる。「大変!イソシアネートの値が高過ぎる!!」計測器の目盛りを見て、津谷は思わず声を上げた。2台持ち込んだ計測器のうち、1台の針は高い数値を指し、も...