物語

北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-18 凄まじい反応

津谷裕子と星谷昇子はともに、稼働2か月後の6月に、重篤な状態に陥る。津谷は自宅で意識消失しかけ、星谷は呼吸困難になり、病院に救急搬走され入院となった。そして退院後は、自宅へは結局戻らないまま、転居する。井草の自宅に戻れば、入院でやや治まって...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-17 感作

症状が、汚染空気の有無によって、出現したり消失したりする。 それはつまり、身体が汚染空気に感作している、ということを意味していた。 「感作(かんさ)」とは、症状を引き起こす原因物質に、反応するようになることをいう。そしてその物質に接触するた...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-16 離れると消えてゆく症状

多くの住民が、杉並中継所から流れてくる「異常な空気」、汚染空気の存在を感じていた。そしてこの汚染空気の状況、その濃度によって、症状が出たり引いたり、激しくなったりやや軽くなったりすることにも、はっきりと気付いていた。 平成11年(1999年...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-15 もや

6月に入ると、突然顔中真っ赤に腫れ上がり、大慌てした。が、外出して井草地区を離れると、帰る頃には腫れはきれいに引いていた。しかし自室へ戻ると、また腫れは再燃する。 「空気が、おかしい」。そんな噂を聞き、星谷は慌てて開け放っていた窓を閉めた。...
北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-14 “感じる”空気

また奇妙なのは、その「異常な空気」、汚染空気の存在が、だんだん手に取るようにわかる、感じられるようになってきたことだった。 たとえば、強い南風が吹くと、その汚染空気が自宅の内まで、どんどん侵入してくるのがわかる。感じられる。すると咳や喉の痛...