感染拡大で、人々が一勢にマスクを着用し始めたとき、私は奇妙なある感覚を覚えた。
CS患者はもともと、マスク常用者だった。嗅覚過敏があり、人より何十倍も強くにおいを感知してしまうので、マスクなしでは通りも歩けない。いつも顔の半分を大きなマスクで覆っているのが、私たちCS患者の一大特徴である。
それがコロナを機に、ほぼ全国民がマスク常用者になった。一方はにおい防止のため、一方は感染防止のためと用途は違うのだが、しかし空気を恐れている、という意味では変わりがない。自分の周囲を流れる空気を、つねに警戒していなければならない状況にあるというのは、コロナでもCSでも、奇妙に一致していた。
加えて、コロナの後遺症がある。
コロナの後遺症では、一定の割合の人に、慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎と同様の症状が出ているという。疲労感倦怠感が強く、体力が続かなくて、働くこともままならず退職を余義なくされる人もいる。
実は慢性疲労症候群/筋痛性脳脊髄炎は、CSと親類のような病気だ。「類縁疾患」と呼ばれ、その病態、機序には重なるところが多いといわれている。
参考文献
- 『BRAINandNERVE 第70巻第1号 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の今』
所収「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の診断と治療」倉恒弘彦 - 「種々の症状を呈する難治性疾患における中枢神経感作の役割の解明とそれによる患者ケアの向上」 平田幸一
厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患等政策研究事業)総括報告書
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