北里病院・さっぱりわからん!検査編

4-1 怪しい白いボール

クリーンルーム内の空気に馴化(じゅんか)(=慣れる)するための30分が終わった。さぁいよいよ診察!と思いきや、またもやそうじゃなかった。

「ではこれから、検査になります。3人一組で検査室に入りますので、呼ばれた方は順次御入室下さい。では〇〇さん、〇△さん…」

え、これから検査!? とちょっと驚いた。

というのもクリーンルームに入る前に、視力検査、尿検査、血液検査、そして心電図測定と、一連の検査はすでにやっていたのだ。この上さらにまだ、検査、するんですか?

しばらくして私も呼ばれ、看護師さん先導で検査ルームに入る。もちろんここもクリーンルーム内だ。というか、この検査を正確に行うために、こんな大がかりなクリーンルーム仕様にしているのだが。

なかに入ると、え、と思うくらい室内は薄暗かった。そして見たところかなりぎちぎちに、モニター機器やパソコン機器が所狭しと置いてある。薄暗いせいか、モニター画面の光だけがやけに明るく見える。何だか怪しげ。検査室というよりこれは、秘密情報機関の隠れアジトみたいだ。この薄暗さがまた何とも。

「奥野井さーん」

私が呼ばれ、モニター画面の前に座るよう言われた。看護師さんが横でパソコンを操作すると、画面上に白いボールが現れてくる。

「この白いボールが、これから画面上で動きます。それを目で追って下さい。ボールが止まるまで、ずっと追い続けて下さいね」

始まると、たしかにその白いボールが、画面の中を縦横無尽に動き回る。最初はゆるやかな波形に動いていたのだが、次第に動きが速くなり、しかも急に上下にピュッと動いたり、突然斜めに飛んだりとする。予測のつかない動き方で、「ゲームみたいだなぁ」と最初は面白がっていたのだが、終ってみるとけっこう目が疲れていた。途中で何回か、「あ、見失った」「今のは追い切れなかった」と思う瞬間があった。

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