いつしか、自転車で道を走るときも、車を避けて裏道へ裏道へと、道を選ぶようになっていた。
しかし、大学への通学途中に一ヵ所だけ、どうしても通らなければならない交差点があった。大きな幹線道路との交差点で、ひっきりく車やトラックが走っている。おまけに上には高架があったので、排気ガスが空に抜けず充満していた。そこで信号待ちに引っかかるのが、たまらなく苦痛だった。待っている間中排気ガスを浴び続けるし、また青になった途端、車が一勢にエンジンを吹かす。当時はディーゼル規制も半端だったので、トラックなど、もうもうとした黒煙を一気にぶわーっと吹き出していた。
そこで排気ガスを身体に浴びてしまうと、全身がかゆくなった。特に、アトピーが出ている首まわりや腕の関節など、途端にちりちり、むずむずとしてくる。かゆい。かなり強烈に、かゆいかゆい!
なので私は、大急ぎで自転車を走らせ、大学の駐輪場に自転車を置くと、何はさておきすぐにトイレへ駆け込む。そこの水道で、首や腕をざぶざぶ洗うのだ。この場合は水質がどうのとかは言っていられない、とにかく洗って、肌にくっ付いている排ガス成分を洗い落とす。
洗い落としてしまえば、かゆみはスッと引き、なくなった。だからこう思った。
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