「このあと行うのが、瞳孔反応検査、というものです。暗所で大きく開いた瞳孔に、一瞬強い光を当てます。フラッシュみたいな、かなり強い光です。瞳孔は光を見ると、ギュッと縮んで小さくなるのですが、そのときの反応の速度や反応度合を調べるんです。それがこの検査の目的です」
「はぁ…」
と、かなり懇切丁寧に説明してくれる。が、残念ながら今一つ、いやほとんどわからない。というか暗いので、だんだん眠くなってきました…。
ピピピッとタイマーが鳴った。3分経過。
「じゃ行きましょう。目はまだ開けないで下さいね」
「はい、じゃ目を開けて下さい。今から当てますよー、ハイッ」
ぎゃっ!!
説明通り、フラッシュのような強い光が、目の前で光った。もの凄い衝撃、のようなものが、目から脳へとズバッと突き抜けてゆく。凄い。こ、これはキョーレツ…と思わずその場でへなへなになる。
「大丈夫ですか!?気持ち悪いですか!?」
と言う看護師さんに両手で誘導され、顎(あご)を何やら金属製のワクらしき上に置く。
看護師さんがすぐ駆け寄ってきた。「吐き気はないですか!?」
吐き気はなかったが、目にはまだ光の残像が焼き付いていて、それが頭の芯でジンジン響いているような感じだった。強烈だ。光ってある意味、凶器にもなるんやな…。
「休んでて下さい。ここに横になってもいいですよ。大丈夫ですか。…実はこの検査が、患者さんにとって一番きつい検査なんですよ」
「そうなんですか」
「はい。吐いちゃったり、なかには気絶してしまう人もいます。すごくダメージが大きいんです。…検査だから仕方ないんですけど、何だか本当に申し訳なくって。毎回、ごめんなさい、ごめんなさいって、思うんですよね…」
「いやそんな、看護師さんのせいじゃないですよ、全然」
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