北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-10 一枚のチラシ

なぜその日に限って、ポストに入っていたその一枚のチラシを私は読んだのか。今もってよくわからない。

北里病院を受診する半年ほど前、横浜からM市にあるこの家に引っ越してきて、まだ間もない頃だった。

ポストに入っているそんなチラシは、普段ならば目も通さず、広告類とまとめて捨ててしまうはずだった。なのになぜか、ふと読んだ。

ピンク色をした、ザラ紙のチラシ。まるで昔のガリ版刷りのような、荒い印刷だった。そこにはこう書かれていた。

『〇△清掃局に排プラスチック圧縮処理施設建設の計画!! M市は今年度予算に計上
 ☆〇団地に「杉並病」発生の恐れ 団地住民で断固反対の声を上げましょう!!』

見た途端、文字通り凍り付いた。衝撃で頭が真っ白になり、何も考えられなくなった。

〇△清掃局とは、うちと目と鼻の先にあるあのごみ焼却施設のことだ。そこに排プラスチック圧縮処理施設をつくる? すでに予算も計上? ナンダ? コレハ??

慌てて私は、4階の我家までの階段を駆け上り始めた。足ががくがくしているのか、階段の一段一段を踏んでいる感覚がない。何だかふわふわしていた。

杉並病、杉並病…

「杉並病」という文字だけが、ぐるぐると頭の中を行き来している。

大変なことに、なった…

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