北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-27 マイクロカプセル

2010年頃から、香りが長時間、いや長期間続く製品が相次いで発売されていた。花王「香りつき柔軟剤ハミング」、P&G「レノアハピネス アロマジェル」などがその最初だった。

調べてみると、これらの製品では香りを長く持続させるために、香料成分を極小のカプセルに封じ込めるという、新技術が用いられていた。カプセルに入った香料は、衣類に付着しそれがこすれ合うことで、少しずつはじけ、壊れながら香りを放出してゆく。それにより香りの効果がより長く続くことになる。そのことを狙った商品であった。

このカプセルのことを、マイクロカプセルという。その名の通り、直径が1ミリの1000分の1、数マイクロメートルから数十マイクロメートルしかない。いわば超極小サイズの、イクラみたいなものだ。

マイクロカプセル配合製品例(2022年) ©朝顔グラス@X(旧Twitter)

はじけて壊れる前は、だいたい花粉と同じサイズ。はじけた後の残さ、”かけら”はさらに小さくなり、黄砂やPM2.5と同じくらいになる。これほど極小になると、肺では引っかからず、簡単に血液に入り込む。血液に入れば、血管が通るところならばどこにでも行ける。心臓、肝臓腎臓、そして、脳にも。

このマイクロカプセルは、小なりとはいえその素材のほとんどは、プラスチックである。メラミン樹脂やポリウレア樹脂、ウレタン樹脂が使われている。そう、ウレタンである。

ウレタンは、衝撃やこすれ、摩擦による熱等でその分子結合が解けたとき、イソシアネートが発生する

『絵でとく日本におけるイソシアネートのすべて』 NPO・VOC研究会 2019年3月31日発行

杉並病が、そうだった。

そしてそれは、柔軟剤でもそうだったのである。

『絵でとく日本におけるイソシアネートのすべて』 NPO・VOC研究会 2019年3月31日発行

コメント

  1. 未来を信じる沈黙の春 より:

    タリカさん、ブログ頑張っていますね!!
    お送りしたVOC研究会の冊子に載っていたマイクロカプセルのお写真をブログに掲載して頂きまして、有難うございます。冊子の執筆及び写真撮影は故津谷博士が行ったものであり、津谷先生の情熱と努力と功績がしのばれます。
    津谷先生は杉並病公害で特にイソシアネートによる健康被害を顕著に受けて、ポリウレタンの下着や道路工事で具合が悪くなったそうです。
    猛毒が身近な生活用品に含まれていることは、本当に恐ろしいことであり、ほとんどの化学物質過敏症患者が香害に苦しんでいます。
    一日も早く、少しでも香害が減っていきますよう、祈らずにはおれません。
    これからも化学物質汚染の恐ろしさを世に広めてくださいね。

 
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