北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-4 う、うううーっっ

過敏症状を、少くともこれ以上悪化させたくないんですが…症状を進ませないためには、何をどうすればいいんでしょうか?

かなり思い切って、そう訊いてみた。そう、完全に治ることは無理としても、少くとも現状維持―反応するのは排気ガスや農薬ぐらいで―何とか抑えたい。反応物質をこれ以上増やしたくない。そのための具体的な方策が、知りたい。知りたいのだ。

とにかく、身の廻りの環境整備です。化学物質の曝露を極力減らすこと、それが何より大切です。特に家の中です。自分が一番長く過ごす部屋の環境を、整えて下さい。

沈黙

いや先生、それはわかります。その通りだということもわかってます。「生活環境から、一つでも化学物質を減らしてゆくこと」。化学物質過敏症(CS)ネットワークのホームページにも、何度となくそれは書いてありましたから。

でも先生、それだけなんですか? も少し何か、ないんですか?「環境整備」、そんな一般セオリーみたいなものじゃなくて、もうちょっとこう、「医学的に有効な手立て」とか治療手段は、ないんですか…?

だって先生、「環境整備」といわれても、自分の部屋に置いてある合板家具一つ、撤去できないんですよ。そうして一歩外へ出れば、車の排気ガスがあり、消毒剤があり、スーパーや病院や役所の床には床ワックスが塗られ、電車やバスの車内には殺虫剤が噴霧されている。道行く人たちの衣類や髪はすべて、合成洗剤で洗われている。社会全体、いや世界全体の、その隅々に至るまで、化学物質は行き渡り、充満している。満たされている。私たちは首まで、いや頭のてっぺんまで、化学物質に浸かっているではないですか。

これをどうやって、避ければいいんですか?避けてどうやって、暮らしてゆけるんですか?

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