北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-7 とんでもないアレ

ゴミ処理場の、煙突。

家と、目と鼻の先くらいの距離に、ゴミの焼却施設があるのである。その煙突が、どーんと。まるで不吉なバベルの塔みたいなその姿が、4階のうちの窓からまあ、よく見えるんである。う、うううー…

見るたびに、思った。アレに、毎日毎日ゴミを焼却してはその突端から白い煙をモクモクと出しているあの煙突に、部屋の「環境整備」ごときで本当に、対抗出来るんだろうか…と。

だって窓を開ければ、いや窓を開けなくったって、私はあの空気をつねに吸っている。何百何千になるのかは知らないが、ダイオキシンやら何やら、ゴミの焼却で生じる膨大な化学物質の混じっている、あの空気を。ここに住んでいる限り、あの空気から私は逃れられない。吸わないわけにはいかない。だって「空気」だから。そのここの空気全体が、アレなのだから。

これってもうさ…何というの?砂漠のド真ん中で砂をかき出してる、みたいな?焼け石に水っていうか?いやもう全然、太刀打ちなんて出来てないんじゃ…

ちまちまと物を捨てている自分の行為自体が、そんなふうに思えてくる。シーソーゲーム、なんて言ったが、実際はシーソーなんて成立していないのかも。入ってくる方が、圧倒的に多いんじゃないか。あぁ何だか背中に、冷たいものが流れてゆく…

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