で。この自律神経、実は2つに系統が分かれている。系統、モード、チャンネルといってもいいかもしれない。
それが、交感神経(こうかんしんけい)と副交感神経(ふくこうかん神経)、である。
まず交感神経の方。この交感神経は、活動型モードを担当している。
私たちが活発に活動しているとき、あるいは何かに深く集中しているとき。そんなときはこの交感神経が優位に働いている。これを「狩りの神経」「闘争か逃走かの神経」などという表現もある。
たとえばあなたが、原始時代のサバンナとかで、野性動物の狩りに出ているとしよう。
身体は、臨戦態勢になっている。獲物が出て来たらすぐに走り、矢とか石オノとかで闘って捕まえなくてはならない。今夜の夕飯にするからだ。でも想定外の猛獣が出て来たら、一目散に逃げなきゃならない。下手すりゃ死んじゃうからだ。そんな、緊張感と興奮とが入り混じるある種のスリル感のようなものが、全身にギンギンにみなぎっている。
こんなとき、交感神経はさかんに働いている。心臓はドキドキ、脈拍早く、呼吸数も増えて息ハァハァ。そして獲物を見付けるべく遠くを見つめているので、瞳孔はカッと大きく開いている。戦闘準備オッケイ、ノルアドレナリンがバンバン出てる。
では副交感神経の方は、というと。こちらの副交感神経は、逆に休息・リラックスモードを担当している。
狩りも終って、まんまとしとめた獲物を火で焼いて食べ、満腹してそのままゴロリと横になりくつろいでいるとしよう。あぁ~、今日獲ったイノブタの肉は、なかなか美味かったべなぁ~などと思いつつ。まったり…。
こんなときは、副交感神経が働いている。心臓の鼓動はゆっくり脈拍遅く、呼吸も深くてゆるやか。緊張感のカケラもなく、全身ゆったりと緩んでいる。この場合瞳孔は、縮んで小さくなっている。リラ~ックス。
しかしこのとき、逆に消化管の方はさかんに働いている。胃や腸の動きは大いに活発。今さっき食べたから、ということもあろうが、そもそも胃や腸などの消化管は、副交感神経が働いているときに仕事をするよう出来ている。
考えてみればたしかに、狩りの最中―交感神経が優位のとき―に、お腹の方では消化吸収、なんて悠長なことちょっとやれそうにないよねぇ。
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