北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-18 凄まじい反応

津谷裕子と星谷昇子はともに、稼働2か月後の6月に、重篤な状態に陥る。津谷は自宅で意識消失しかけ、星谷は呼吸困難になり、病院に救急搬走され入院となった。そして退院後は、自宅へは結局戻らないまま、転居する。井草の自宅に戻れば、入院でやや治まっていた症状も一気に再燃することが目に見えており、だから戻りたくとも戻れなかった。津谷はK市へ、星谷は郷里である和歌山県へ。

杉並中継所からの汚染空気からは、やっとようやく逃れることが出来た。こわばって石のように硬直していた身体は、徐々にほどけ、少しずつ回復していった。

が、しかし「反応性」は、依然として残る。

©SORAIRO

杉並井草から持って来たものに、身体はことごとく反応した。衣類はもちろんのこと、寝具、家具、電化製品、書籍、書類や手紙の一枚に至るまで、すべて駄目だった。持ち込むと津谷はたちまち強い目まいと息苦しさに襲われ、星谷は背中が締め付けられるように痛み、顔や目や舌がヒリヒリとした。我慢しているとたちまち呼吸困難に陥り、倒れてしまう。またそのような激しい反応を起こした後は、きまってその後数日間寝込むことになった。凄まじい反応だった。

反応するのは、杉並から持ち出したものに限らなかった。

転居したK市の家の近くで、新築の家に建設が始まると、津谷はやはり激しい反応に襲われた。特に、プラスチック系の接着剤や断熱材、ウレタンフォームなどにより強い反応を示す。だから衣類などでも、ウレタン等化学繊維仕様のものは、一切着られなくなった。

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