北里病院へ、行った話<奇妙な診察編>

5-30 あぁどうしたらいいの

どう考えても、ここには住めない。何とか対処すれば何とか住めるなんて、そんなレベルじゃない。間違っていた。間違った引っ越しだったのだ。唯一の対応策は、「もう一度別の場所へ引っ越すこと」。それだけだ。

だがあぁしかし、引っ越してきたばかりじゃないか…!!

私は呆然とした。呆然として、家の中を見廻した。まだ開けてもいないダンボール箱が、引っ越し荷物が、部屋のあちこちに積んである。ここに来るまでに要した、その途方もない労力、お金、そして何よりも「引っ越しさえすれば何とかなる」と思いそれに賭けてきた気持ち。すべてが、一瞬で消し飛んだ。

これをもう一度、やれというのか…。

くらくらした。どうすればいいのか、まったくわからなくなった。途方に暮れるというのは、こういうことかと思った。

言えるのか、私は。両親に。もう一度引っ越してください、なんてことが。

それから半年経ち、私は北里病院を受診する。そして間違いなく私は化学物質過敏症である、と診断が下る。さらにその1か月後、再受診。

今度は、医師の先生にこのことを、ごみ焼却場と圧プラ圧縮処理施設のことを、相談しようと思っていた。どうすればいいのか。先生の言う「環境整備」で本当に、この事態に対応出来るのか。

つっ込んで訊こう、とは思っていたもののやや心許なかった。何でか、医師の先生というのは目の前にいると、大変に話しづらい。またあのクリーンルームに入ると、頭が若干ぼうっとなり、言いたいことの半分も言えなくなる傾向があった。離脱症状なのかも。なので事前に、尋ねたいことを手紙に書いて送ることにした。

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