手紙を、書いて出したのですが…
再受診の日、私はおずおずと先生にそう切り出した。
いえ、届いていませんが…
あ・・・そうですか…(がっくり)
仕方ないので、書いた内容を思い出しつつ、質問していった。先生がそれにまた一つ一つ答えてゆくという、前回とまったく同じパターン。
ごみ焼却場が近くにあるんですが…どうしたらいいんでしょう
うーん…でもまず、家の中、自室の環境整備ですね
でも、窓を開ければその空気が入ってきます
空気清浄器は使っていますか?
使ってます。でも全然、足りないというか…
フィルターを頻繁に変えたらどうですか
でも先生。入ってくるものが、家の中から排除出来るものより、遥かに多いんですよ。それってどうなんですか?
まあ…いたちごっこ、ではありますよね…
排プラ圧縮処理施設のことも話したが、答という答は何も見出せないまま、時間が来て診察は終了。そして先生はやんわりと、
ここは保険がきかなくて入室料も高価いですから、何かあったら今後は内科の方で…
と言った。
そうか…そうだよね。 私は思った。ここは、「診断」は出来るが、「治療」は出来ないところなのだ。 化学物質過敏症の根本的治療法はないのだから、それは当然だった。
わかりました。そうします
着替えて、またクリーンルームの外へ出る。においは未だ感じないが、何かもわっする、やや重たく感じる空気に身体がつつまれる。
ここにもう一度、来ることはあるのかないのか…なさそうだな…
そんなことを思いながらふと見ると、クリーンルーム入口脇の、スタッフルームみたいな部屋に、先生が出て来ていた。そして私が2日程前に出した手紙を、読んでいた。
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